2021年7月11日、GKTジュニアレース Rd7とRd8がハーバーサーキット千葉インドア店で開催されました。
国内でも稀有な特殊レイアウト
このサーキットは国内でも珍しいインドアのサーキットとなっており、しかも立体交差のオールージュやコークスクリューもあるなかなか攻略しがいのあるレイアウトとなっています。
さらには路面の舗装もかなり食いツキのよい滑りにくいサーフェスですし、コース幅も狭くオーバーテイクがしにくいというテクニカルなコースだと思います。
エントリーリスト
最低参加台数を満たしてレースが成立すると1週間前に店舗のFacebookにエントリーリストが掲載されます。
1週間前の時点では9台の台数と、昨今の他のレースと比較してちょっと少ないかな?と思っていましたが、結局当日になって最終的な参加台数は15台!
直前に6台も追加でエントリーがあったということです。
中には遠く愛知県の「のんほいサーキット」所属のジュニアや、八王子の「U-Kartサーキット」所属のジュニアもいて、ハイレベルなレースになるかもしれないと予想されました。
道中
当日朝は首都高速湾岸線は空いていたものの、湾岸習志野インターを降りてから千葉市内に入ると少し渋滞があり、見込んでいた到着時間より少し遅れることになりました。
サーキットの駐車場にはすでに何台かエントリーをしている家族のクルマが駐車していました。
ゲートオープン
予定時間より少し前に会場のゲートがオープンされ、各自待合スペースのテーブル&椅子の確保をします。
私たち家族も普段使用しているスペース付近に無事確保することが出来ました。
運営の手際
ハーバーサーキットでのスケジュールは手際良く凝縮されたプログラムであるため、「無駄な?」時間がない代わりにゆっくりとしている時間が少ないです。
すぐにレーシングスーツやレーシングシューズ、ヘルメットなどの装備品を装着して受付・計量・予選のグループ&マシンの抽選となります。
息子は計量でウエイトハンディなし、予選グループ分けはRd7=Cグループ、Rd8=Aグループと、まずまずのクジを引き当てました。
ドラミ
続いてドライバーズミーティングです。
今回は事前にレース規約書が更新されていて、大きな変更点が一つありました。
初のローリングスタート
それは、決勝レースでは「ローリングスタート方式を採用する」ということです。
これまでのレースでは決勝全てのスタートは「スタンディングスタート」方式でした。
スタンディングスタートは、コントロールライン(タイム計測をしたり、スタートの起点やチェッカーフラグが振られるライン)から後ろにグリッドがあり、通常は各マシンがピットを出た後に1周のフォーメーションラップを終えて予選タイムアタックのベスト周回タイムの順番にポールポジションから並び、各マシンはグリッドに停止した状態でシグナルがレッドからグリーンに変わった瞬間に一斉にスタートする方法です。
一方、今回採用されたローリングスタートはフォーメーションラップの途中から全マシンがスピードを落とし隊列を組んで(前後の間隔をマシンの全長約0.5台分くらいの間隔で連なって走る)コントロールライン近くまでそのままゆっくり走行、コントロールライン近くでシグナルがグリーンに変わったらアクセル全開でスタートする方式です。
ただし隊列が整っていなかったと競技長が判断した場合は再度もう1周のフォーメーションラップが繰り返されますし、シグナルがグリーンに変わってもコントロールラインを通過するまでは追い越しができないなど、特有の難しさがあるという方式です。
ポイントとしては、
スタンディングスタート=グリーンシグナルでアクセルさえ踏めば良いので簡単だが体重などの重量差や、コースレイアウトなどによってグリッド順での優位性が発揮できないなどのデメリットもあります。
ローリングスタート=重量差やグリッド順での有利不利は少ないが、前後の隊列を崩さない、グリーンシグナル後からコントロールラインを通過するまでの一瞬の駆け引きのテクニックを要するなど、難しいのがローリングスタートです。特に先頭のポールポジションや最後尾のマシンの役割は重要だったりもします。
予選の作戦は大変重要!
ドライバーズミーティングが終了し、各予選AからCグループまででプラクティス(練習走行)が行われると予選になります。
早速予選Aグループの出走です。
各マシンのベスト周回ラップタイムが更新されるたびに会場からは一喜一憂の声が漏れていました。
予選Bグループも行われるとある程度「何秒ぐらいのベストタイムが出るとA決勝の上位6台に入れるか」のおおよその目安がわかってきます。
続いて息子が出走する予選Cグループの順番です。
5分間の予選タイムアタックはあっという間に終わってしまうので、集中してベストタイムを更新する必要があります。
しかし予選の組はクジでグループ分けを行なっているため、どうしてもタイムの早いドライバーとそうでは無いドライバーが混在して走ることになりますからクリアラップ(一緒に走行をしている他のマシンの影響を受けないで1周走り切ること)を取ることが難しかったりします。
5分間という限られた時間内でクリアラップを取るための作戦も大変重要なスキルでもあります。
具体的には「スピードを落として前に走っているマシンの間隔を十分に空けてから全開走行をする」、もしくは「スピードを落とさずに前方のマシンをオーバーテイクして次の周回でクリアラップを取る」のいずれかがあります。
この判断を早く行わないと5分はすぐに過ぎてしましますし、「間隔を開けるのが不十分」だとクリアラップを取る前に前方に追いついてしまったり、「頑張ってオーバーテイク」をしようとした場合では意外と前方のマシンを追い抜けないなど、結局ベストタイムを叩き出すことが出来ないままに予選が終了してしまうということにもなりかねません。
息子にはその辺の指示を伝えてから予選にのぞんでいきました。
しかしピットから出走するときのマシンの順番が後ろの方だったこともあり、周回を重ねるうちに前方のマシンとの距離が近くなってしまいました。
とはいえなんとかベストタイムをある程度の秒数で叩き出すことができ、最終的な上位6台(予選タイムアタックでの上位6台)の決定アナウンスを待つ事になりました。
※概ね各マシンのタイムは分かっているのですが、まれに予選中のペナルティが発覚しベストタイム削除や順位降格などもあるため正式決定を待たないと確定しません。
無事A決勝出場
結果予選タイムで4番手となり、無事に上位6台のA決勝への出場が決まりました。
決勝レースはC決勝→B決勝→A決勝の順番で行われます。
初めてのローリングスタート形式でしたので、C決勝などは隊列の編成などで少し手間取っているようにも見えました。
いよいよ息子が出場するA決勝の番です。
さすが上位の組ということもあり、綺麗に隊列が編成されてフォーメーションラップを周回しています。
スタート!
最終コーナーを通り過ぎて程なくするとシグナルがレッドからグリーンに変わりました!
全車綺麗にスタートできてレースがスタートしました。
スタンディングスタートをしていた過去のレースではスタート直後の2コーナーでオーバーテイクが発生することが多いのですが、今回はローリングスタートでしたので最初の2コーナーは順位の入替がなく静かなスタートでした。
息子も4番手の順位をキープして走行をしています。
最下位&大きく離される!
1周の周回を終えて2周目に入った2コーナー、息子の後ろを走行していたドライバーがインを刺し、オーバーテイクされました。
息子も次の左3コーナーでラインをクロスさせて抜き返そうとするもそのマシンと左側の壁に挟まれる形でやむなく失速。
さらに壁にマシンをヒットさせて順位が最下位の6位に下がるだけではなく、前を走る5台からの距離も大きく離されてしまいました。
観戦していた私も思わず「あぁーっ!」とため息が漏れてしまいました。
しかし誰よりもマシンを運転していた息子がステアリングを右手で叩いて悔しがっていたのが印象的でした。普段感情を表に出すことがとても少ない性格の息子でしたから、なおさらなんでしょう。
一人取り残されつつも再びマシンを加速させて前の集団を追いかけていきます。
諦めない気持ち
レースの面白いところはここで勝負アリということはなく、何かが起きることがよくある、ということです。
実際に今回も熾烈にトップ争いが繰り広げられており、狭いコースでなかなかオーバーテイクポイントが少ないながらも各マシン仕掛け合いながら順位の変動が何度も発生していました。
これは面白いというか奥深さを感じるのですが、周回でベストタイムを叩き出すラインと、オーバーテイクするときのラインは全く異なり、バトルが生じるとタイム重視で後方を走っているマシンは追いついてくるのです。
先述のように何度も激しいバトルが繰り広げられていましたので、だいぶ離されていた息子もそうそう時間がかからずに前の集団に追いつきました。
オーバーテイク!
中盤になると2コーナーで順位の入れ替えが生じてペースがダウンしたため、息子がその後のオールージュ(立体交差の登り&左コーナー)でインから1台のマシンをオーバーテイクに成功!
4位から6位の3台はダンゴ状態で差がほとんどなくテールトゥーノーズで走行しており、一瞬のスキで順位が入れ替わる緊張した状態でした。
息子は時折後ろを振り返って後方のマシンが仕掛けてこないかどうか位置やライン、距離を意識しつつ、前方のマシンをどこかでオーバーテイクできないかとラインを変えて揺さぶったりしながら虎視眈々とチャンスを窺っていました。
結果・・・
終盤に入ると1位のマシンが少し差を広げ、2位と3位争いの2台がバトル、4位から6位争いの真ん中に息子がいるというそんな図式になってきましたが、結局順位に変動はなくそのままチェッカーフラッグ。Rd7は5位という結果でした。
しかし序盤で大きく離されてからの追い上げ、そして1台のマシンをオーバーテイクをしてさらに順位を上げようとしている気持ちは周りで見ていてもよく伝わりました。
諦めないで頑張ると何か良いことが起こることもある、ということを息子も学ぶことができたのではないかと思います。
続いてRd8予選
ピットに戻ってきてゆっくりと休む間もなくRd8の予選が始まります。
息子は予選Aグループでしたのですぐに準備をして出走となりました。
しかしまたピットのマシンの順番が6番目。つまり5分の予選タイムアタックでクリアラップが取りにくい順番となってしまいました。
息子の前のポジションで出走したドライバーは過去に数回優勝経験もあり、常に決勝でも上位に入賞している中学生のドライバーなのですが、やはり経験と作戦がしっかりと立てられています。
コースに出てからもスピードを落としながら前方を走るマシンとの距離を確実に開けて自身がクリアラップが取れるようにしています。
息子もさらにその後方を追走して作戦を真似しようとしていました。
さて十分な間隔が開いたそのとき、2台のマシンが全開走行をしました。
まずまずのタイムが出始めましたが、Rd7予選のタイムを参考にすると決してA決勝への進出が確実というタイムではなく、むしろこの後出走を控えている予選BグループやCグループのドライバーにタイムを更新されてA決勝進出が危ういのでは無いかと心配になって来ました。
程なくして2台のマシンは前方を走る別のマシンに追いついてしまいました。
判断の早さと適切な対応が重要
先述した1台前の中学生ドライバーは息子よりも良いベストタイムを出していたので無理をせずにスピードダウン。
再び間隔をあけて最後のアタックに備えているようでした。
一方息子の方はベストタイムがイマイチだったため、更なる更新が求められる状況であり息子も走行をしながら電光掲示板のタイムを確認してそれを理解しています。
ここでの息子の判断は「前のマシンをオーバーテイクしてアタックする」というものでした。
この狭いコースレイアウトでオーバーテイクポイントも少なく確実に追い越せる保証などないのですが、息子はリスクをとってこの判断に掛けていました。
残り時間わずかでなんとかオーバーテイクに成功!
全開アタック
ラストで全開アタックです。
なかなかタイムの更新がされないため、「あぁ、今回はA決勝進出は難しいかな・・・」と思いながら残り時間が0となりました。
ファイナルラップです。
息子はこのファイナルラップでも最後の力を振り絞って魂の走りを見せ、最終周回でベストタイムを更新しました!
それでも予選Aグループの中では3番手のタイム。あとは後続の予選BグループとCグループの結果を待つばかりです。
各グループともに良いタイムが出ており、0.1秒の間に何台も含まれる接戦で予選が終了しました。
ギリギリA決勝
結果としてはギリギリ6番手でA決勝進出というものでした。
まずは本人も親もホッと胸を撫で下ろしました。
決勝レースはC決勝から始まるので少し休憩時間があります。
水分補給をしたり軽食で腹ごしらえをしたり、レースの模様を観戦したり。
A決勝
会場アナウンスがあり「A決勝出場のドライバーは装備品を装着してピット入り口に集まってください」と言われました。
本日最終のレース、Rd8のA決勝が始まります。
各6台のマシンがピットから出走して周回をしてグリッドに停止。
選手紹介がありました。
スタート
その後ローリングスタートのためにレッドシグナル点灯の状態でフォーメーションラップが開始されました。
最終コーナーを過ぎてシグナルがグリーンに変わると一斉に全開走行です。
Rd7のこともあり、最終6番手スタートの息子ではありましたが不思議とプレッシャーよりも「きっと前方で走る集団がバトルをしてくれるので自分にもチャンスが来るはず!」という期待感の方が大きかったので、ワクワクし様子を見ながら観戦をしていました。
1位争いも相当なバトルが繰り広げられて会場は歓声が沸き起こっていましたが、私は息子の順位争いを見守っていました。
序盤から中盤に差し掛かるあたりで4位と5位のバトルが起き順位変動が発生しました。
果敢にオーバーテイク
息子はここで生じたチャンスを逃さず、順位入れ替えに便乗して1台オーバーテイクに成功!
一つ順位を上げこの時点で5位となりました。
さらに中盤で2コーナーで4位のマシンのインを刺し、オーバーテイク!
この時点で4位です。
「これがレースの面白さ!」と感じたのは終盤でした。
1位争いで走っていた1台のマシンがバトルで壁に接触!
そのマシンはカウルがタイヤに接触して走行時に異音が発生するようになったため、オレンジポール旗(マシントラブルでピットインせよ、の意味)が振られてピットインすることになりました。
結果3位表彰台
つまり息子はさらに順位を一つ上げ、3位に浮上。このまま完走すると表彰台です。
ピットインしたドライバーは競技役員の指示に従ってマシンをチェンジしたのですが、素早く手際良くコースに戻っていったのでとても感心させられました。
その後、無事に3位のポジションを守り切って無事にチェッカー!
ここ最近4日程のレース合計8戦のうち、表彰台5回と安定感が出てきました。
ただしまだ表彰台の中央=優勝は未経験ですので次回こそ優勝を目指して頑張ってほしいです。