4月18日にハーバーサーキット木更津アウトドア店にて、Golden Kart Trophy 2021ジュニアスプリントレースRd3、Rd4が開催されました。
私が20年ぐらい前に読んでいた、あるマンガを息子が納戸から引っ張り出してきて読み始めました。
そのマンガは主人公が群馬県のとある峠道でクルマをドリフト(タイヤのグリップの限界を超えて滑らす事でコーナー中のクルマの向きを通常以上に大胆に変化させるテクニック)させてはやく走り、ライバルたちとのバトル(競走)に次々と勝っていくというストーリーでした。
今となっては「公道でそんな事しちゃダメでしょ!」的なことはもとより、主人公がクルマの運転を始めたの時期はなんと中学生!
父が経営する豆腐屋さんで作られた豆腐を峠を超えた先にあるお得意先に早朝届ける事でドライビングテクニックが磨かれていったという、無法地帯というか突っ込みどころまんさいなストーリーでした笑。
息子はそのマンガを見てドリフトの世界に魅了され、YouTubeやWebで動画や画像を見るようになってきました。
そんな息子を見ていた私は「小学生じゃクルマの免許は取得できないし、そもそもウチにはドリフトをするためのクルマもない。さらに(このマンガの世界観ではないので)ドリフト走行で走らせる場所も大人を対象とした専用のサーキットぐらいしかない、という事で「だったらドリフトではないけど小学生でも体験する事が可能であるモータースポーツはないか?」と考えたところ、カートというモータースポーツをやってみてはどうか?という事で近隣の施設の情報を調べてみることになりました。
すると小学生でも走行ができるレンタルカートのサーキットが千葉市内にあることを発見したのです。そのサーキットは「ハーバーサーキット千葉インドア店」と言い、国内でも珍しいインドアサーキットでかつコースが立体交差になっているレイアウトとなっていました。
「サーキット」と聞くと「(エンジンや排気音が)うるさい」、「(排気ガスで)臭い」、「(オイルやガソリンで)汚い」といったどちらかというとネガティブなイメージがあるかと思いますが、このハーバーサーキットはカートのマシンのエンジンが4ストロークエンジンもしくは最新のEV(電気)カートでありウルサくもないですし、換気の設備もしっかりしています。
さらには施設の雰囲気は20世紀の?アメリカンな感じとなっている為、女性や子供、その他全くの初心者でも気軽に走行を楽しむ事ができます。
初回はサーキットのライセンスを発行してもらう必要がありますが料金は500円ぐらい。10分前後のビデオを見て注意点などを理解すれば走行する事が可能です。
ヘルメットやネックガード(首への衝撃を和らげる装備品)は無料でレンタルをしてくれますから「予約不要で」、「気軽に」、「手ぶらで」カート走行を楽しむ事ができます。
初めて行ってみたのは2020年9月。コロナの緊急事態宣言も解除され、感染者数が落ち着いた頃にサーキットへ連絡をして、感染対策の取り組みや混雑状況を確認した上で行ってみました。
初回のセッション(6分間の走行枠)では流石にタイムは平凡なものでしたが、何度か走るうちにどんどんタイムが伸びていきました。
息子に聞くと「走っていて楽しい!」とのことなので、サーキットに連れて行った甲斐がありました。
妻がサーキット内にある掲示板を見て、翌週にここでジュニアレースがあるということを知り、どうせならと無謀にも!?いきなりですがレースにエントリーをしてみました笑。
翌週のレース当日、サーキットに駆けつけてみるとエントリーをしている他のジュニアも集まっていました。
ほぼ全員、自前のレーシングスーツやヘルメット・グローブ・シューズなど、小学生のチビっ子レーサーながら笑、一丁前のスタイルでめちゃくちゃカッコいいのです!!
ウチの息子はそんな子たちの中で私服・スニーカー。唯一用意したのは近所のホームセンターで購入した、手の平に滑り止めのゴムがついた軍手笑。
親の私は他の子たちの「ガチなレースの装備品」に少し気後れしそうになっていましたが、当の息子はお構いなしといった感じでした笑。
初めてレースに参戦するということで、全体のドラミ(ドライバーズミーティング)の前にレースの競技長から個別にフラッグ(旗)の説明やマナーなどについて説明を受けていました。
一方でレース前のチビっ子たちはいつもの顔見知りなのでしょう、格好はレーサーですが普通の小学生らしくみんなでキャッキャ!とはしゃぎ回っていました。なんだかはじめ気後れしたものの、そのギャップにどこかホッとしました。
さてレースが開始されました。1日で2戦開催されるのですが、それぞれの予選タイムアタックで決勝のスタート順位や組み分け(予選上位がA決勝、下位がB(台数が多いとC)決勝。予選ではもちろん?最下位。
ですが、ベストタイムで順位が決まるなかでトップと最下位の差が1秒程度となっており、モータースポーツの世界はF1などと同様にカートも1/1,000秒の世界なんだ!と思いました。
その後行われたB決勝の最後尾からスタートした息子は、そのママの順位で最後まで完走。トップのジュニアとのタイム差は随分と広がっていました。
続く第2戦目も予選最下位からのB決勝最後尾スタート。しかしオーバーテイクポイントのコーナーで1台のカートを追い抜きそのまま最後まで順位を守り抜きチェッカーフラッグを受けました!
息子の力走に、観ていてハラハラドキドキのレースでした。先述のように1/1,000秒で順位が変わる世界なので、ちょっとしたミスや駆け引きで簡単に順位が入れ替わって他のジュニアの走りを観ていても勉強になります。
プッシング(後ろからカートで前車にぶつかること)や無理な幅寄せなどはペナルティの対象となります。へナルティの内容によりタイムの加算や順位の後退などありますが、そういったルール・マナー違反のケースが発生すると、レース終了後に競技長から対象のジュニアが呼びさられて説明や指摘があります。
ただ単にはやく走ればいいという事ではなく、実はジェントルな世界なんだなぁと気づかされました。
僅差で順位が入れ替わる為、勝った子は人差し指を天に向けて突き出して喜んでいますし、負けた子は悔しがってパパやママに抱きつきながら涙をボロボロと流して泣いているのです。
当時はまだお友達はほとんどいませんでしたが、知らない子の勝敗のドラマ、その後の舞台裏?のシーンを見てもらい泣きすらしそうになりました。
息子のレース初戦、結果的にはそんなほろ苦いデビューとなりました。
そんなこんなで昨年9月からレンタルカートに乗り始め、やがて何度かのレースにも参加をするようになったのですがF1やスーパーGTなどの登竜門と言われる「レーシングカート」と比較して、スピードも低くクラッシュ時の安全性なども確保されている「レンタルカート」ながら、やってみるとまだまだほんの一部の片鱗ながらその奥深さを知ることができます。
ただ単に速く走る事も大切ですが、一緒に走行をする周囲のドライバーへのリスペクトや、先述のようにプッシングや幅寄せなどをしないようなマナー、お友達のみならず競技スタッフやパパママ達などとの協調性、自分の走りを自己分析して説明できるためのスキル、分析結果からの課題抽出や対策、タイムや順位の目標設定と戦略立案など、本当に学ぶことが多いです。
初めてレースに参加をしたときには最下位でしたが、練習を重ねた結果少しずつ速く走ることが出来てきて今回は第3戦で「FL=ファステストラップ(レース中の1周のタイムが最も速いこと)」や、第4戦では予選で1位となりはじめての「PP=ポールポジション(決勝のスタートで最も有利な先頭の位置からスタートできる)」など、成果が出始めて収穫がありました。
一方で決勝の本戦ではペナルティを受けたり、ポールポジションでスタートしても後続からオーバーテイク(追い抜き)されたりと、メンタル含めた今後への反省も露呈しました。今回のレースは私自身は入院中のためサーキットに行っての応援ができませんでしたが泣、退院したら一緒に同行をしたいと思います。屋外サーキット&感染対策もしていますが、コロナ感染者も落ち着いてくるといいなぁ。